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ポジティブ・インベストメントのすすめ

 

 人は何のために投資するのだろう。お金持ちになるため?それともスリルを味わうため?それとも幸せになるため?もし、人の究極の目的が幸せであるとするなら、お金を得ること(投資で成功すること)で、人は幸せを得ようとしているはずだ。しかし、成功と幸せは同義語ではない。不思議なことだが、特に現代社会ではこのもっとも大事なことであろう幸せになる方法を、だれも教えてくれない。学問は学校で教えてくれる。成功を勝ち得る方法もある程度は教えてくれるだろう。でも、我々に幸せになる具体的な方法を教えてくれるところはない。だからこそ、逆説的に言うと、数字で表せるお金が、成功の証となり、それが幸せをはかるものさしの一つだと私たちは考えるようになった。かつてビートルズの故ジョン・レノンは、『ビートルズは、欲しいだけの金を儲け、好きなだけの名声を得て、何も無いことを知った。』と語った。しかし、欲しいだけの金を儲けたことがない我々は、やはりお金儲け(成功の手段)となる投資をポジティブに考えるべきだろう。

 投資において今よりも成功することは、これまでの投資方法(少なくともその一部)を変える必要性がある。変化するものだけが生き残ってゆくのは、進化論だけの話ではない。投資家もそうだろう。しかし、どのように変化してゆけばいいのかをだれも教えてくれない。『もっと世界に目を向けてみよう。日本はこのままではダメになる』といった悲観論がもっともらしく語られて20年になろうとしている。悲観論好きな私たちは、決して多くない小遣いの中から1,000円以上もする悲観論の本を買い、実際の行動とは裏腹に、少女によって語られるドラッカー本が飛ぶように売れる。

 米の財政赤字削減法案の可決不調によりドル/円相場は、再び80円を割り込み、77円台半ばまで急落(円は急騰)した。今回の80円割れは、3月18日の協調介入以降2度目のことだ。外縁によって起こった3月11日の東日本大震災を、日本を大きく変化させるきっかけとなる出来事として私たちは捉えなければならない。大地震と津波によって、原子力発電所の安全性は根底から崩れ、電力不足、食料汚染問題等にまで発展、日本は政治力のなさをあらためて露呈し、多くの外国人が去り、外資系企業の多くが日本脱出をはかっている。

 今、我々は変わらなくてはならない。現在の円高は、消去法的な海外からの円買い、そしてもっとも大きな要因は我々日本人自体の消費や投資行動の更なる消極化が背景にある。

 実際、日本は円高によって救われている。円高によって、私たちの一人当たりの米ドルベースのGDPは上昇し、現在世界16位に位置する。しかし、企業物価にもとづく購買力平価で考える均衡レートは1ドル=約100円であり、それを基に計算するとイタリアやニュージーランドの下、香港の上24位まで下落してしまう。更に消費者物価を基にした購買力平価132.5円で計算するとギリシャよりも下に位置し、30位になる。決して日本は豊かな国ではない。本当に怖いのはこれからくるであろう円安だ。

 現在の円高は、国内消費の減少に加えて、国内生産工場の海外移転に伴う生産力の減少を意味する。これは、やはり狼少年といわれても、早ければ秋口、遅ければ来年早々からの円安の到来を予想させるものだ。

 円高の今、たとえば約1億円弱の投資資金があれば、地震もなく富裕層に対する優遇税制をしく、香港の永住権を得ることが可能だ。増税の可能性が高い日本とは異なり、香港は投資家に対する税金は安く、その程度のお金があれば贅沢をしなければ、20年ぐらいは暮らしてゆけるだろう。でも、それだけのお金があって、英語が得意な人でさえも、年を取ってから生まれた国、日本を離れることはまず選択肢の中にないのではないか。

 日本にいて本当に怖い円安に備えるためには、ドル資産を持つことだ。アップルやグーグル、アマゾンなど革新的な技術は米国で生まれており、為替上昇以上に株価の上昇が期待できる。夏本番の8月に入った、サマーラリーに期待したい。


佐藤光太郎(さとう・こうたろう)
早稲田大学卒。04年東海東京証券アジア社長、08年10月より当社外国エクイティ部長、10年10月に商品本部長就任。ブルームバーグテレビにて5年間外国株式解説を担当、 TBS『儲かりマンデー』での外国株の紹介、香港駐在時に朝日新聞アジア版へ『大人の金融論』を連載するなど、一貫して外国株式の普及に努める。96年、米国株式の店頭取引を開始。02年、香港株式の国内店頭取引を業界の先陣を切って開始。09年、ベトナム株式国内店頭取引を推進、日本でベトナム株式の同一日売買を初めて可能とするなど、日本における屈指の外国株式のエキスパート。

 

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2011.08.04 » アジアのプロが語る 印刷 印刷